法人が破産したら代表者も破産をしなければならないのか
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会社が破産する場合は代表者も破産する場合が多い
会社が破産手続を行う場合でも、会社と代表者個人は別人格なので、必ず代表者も破産手続をしなければならないという訳ではありません。しかしながら、実務上は、会社が破産をする場合は、代表者も一緒に破産手続をすることが多いです。
というのも、会社が破産した場合、債権者は会社の債務の連帯保証人に請求をすることになります。代表者は会社の債務の連帯保証人になっていることが多いですが、代表者個人が会社の債務を支払うことは通常はできないため、代表者個人も破産手続を行うことが多いのです。
また、代表者以外でも、親族などで会社の債務の連帯保証をしている人がいる場合は、その連帯保証をしている親族も会社と一緒に破産手続を行うことを検討することになります。
代表者が破産した場合、家族に影響があるか
代表者個人が破産する場合、家族には何か影響があるのでしょうか。
家族が会社の債務について連帯保証をしていなければ、基本的には家族には影響がなく、家族が会社の債務を支払わなければならないというようなこともありません。
会社の債務のために代表者の自宅を担保に入れている場合は、会社が破産すると、基本的には自宅が任意売却や競売で売却されることになるので、自宅に住むことができなくなる可能性があります。
また、自宅を担保に入れていない場合でも、代表者個人が破産手続を行う場合は、基本的には自宅は売却することになりますので、自宅に住み続けることができなくなります。
もっとも、その場合でも、知人や親族に自宅を購入してもらって賃借してもらったり、購入した業者からリースバックしてもらうことで、そのまま自宅に住み続けることが出来る場合もあります。
経営者保証に関するガイドラインを活用して破産を回避する方法もある
一定の適用条件がありますが、近時は、経営者保証に関するガイドラインを利用して保証債務を整理し、自宅を残しながら、個人破産を回避するという方法もあります。
経営者保証に関するガイドラインを活用してみませんか(金融庁)
経営者保証に関するガイドラインを利用するには、①会社が破産などの法的手続を申立て済みであること、②対象債権者に経済合理性が期待できること、③会社及び保証人が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、財産状況等について適時適切に開示していること等の要件を充足している必要があります。
この手続を利用すると、個人の破産手続の際に手元に残すことができる自由財産(99万円以下の現金等)に加え、一定期間の生活費や、華美ではない自宅等の財産を残すことが可能になります。
代表者の個人保証は減少する傾向
なお、近時は経営者保証ガイドラインが定められ、金融機関が会社に融資をしても、経営者の個人保証はなるべくとらない風潮が出てきております。ですので、今後は経営する会社が破産したとしても経営者が破産手続きを検討しなければならない場面は、減ることが期待できるでしょう。
破産者やそのご家族が少しでも早くあらたな人生を歩まれるためにも、一人で悩まずに是非、法人破産手続きの分野に詳しい弁護士にご相談ください。