法人破産の流れ
目次
1 はじめに
会社の事業がうまくいかず、事業を継続することが難しい場合、債務状況によっては破産手続を検討する必要があります。ここでは大まかな法人破産の手続きの流れについて、説明します。
2 法人破産の流れ
①廃業日(Xデー)の決定
会社の破産手続をとる場合、まずは資金繰表等で会社の資金繰りや入出金の予定を把握し、代表者と協議のうえ、廃業日(破産することを関係者にオープンにする日でもあり、「Xデー」ともいいます)を決定します。裁判所へ会社財産を引き継ぐにあたっては、債権者への配当原資となる財団を構成する財産をできる限り多く残すことも大切となります。そこで、廃業日を決めるにあたっては、会社財産(主に現金・預金)が会社に一番多く残る日を一つの目安とされるのもよいでしょう。
②廃業日(Xデー)まで
廃業日が決まれば、それまでは、原則としていつも通り営業していただくことになります。従業員や債権者に破産手続きをとることを知られますと、社内が混乱するおそれがありますので、ご注意ください。
③廃業日当日(Xデー)
弁護士から各債権者に対し、法人破産申立をする予定である旨の受任通知書を発送します。受任通知発送後は、対外的な窓口は弁護士になりますので、会社の代表者が債権者等と直接やりとりをしていただくことはございません。
通常、廃業日当日に事業は停止することになり、同じ日に従業員への解雇通知や、事業所の閉鎖を行うことになります。
なお、会社の規模や緊急性によっては、受任通知を送らずにいきなり廃業日に破産申立をすることもあります(「密行型」といいます)。その場合は、受任通知の手続は省略し、廃業日までに④の準備を進めていくことになります。
④廃業日以降、破産申立まで
弁護士が会社の残余財産や決算書類・通帳・印鑑・鍵・資料などを全てお預かりします。必要に応じて、売掛金を回収したりすることもあります。会社の財産状況や破産に至った経緯を裁判所に報告する必要がありますので、会社の代表者の方等から事情を聞きとり、書面を作成します。財産や資料が整えば、管轄の裁判所へ破産申し立てを行います。
⑤破産開始決定後、終了まで
破産申立の資料に問題がなければ、破産開始決定がなされ、裁判所から破産管財人が選任されます。破産管財人は会社の財産を換価したり、債権を回収したりすることで、財団を増殖したり、破産に至る経緯等に問題がないか調査をしたりします。会社の代表者は破産管財人に説明・協力する義務がありますので、破産管財人から求められたことには、できる限り協力するようにしてください。また、会社の代表者は、債権者集会に出席する必要があります。債権者集会は破産開始決定後、3ヶ月に一回程度の割合で開催されます。財団を充分に形成できなければ、配当がなされずに破産手続は終了(異時廃止)となります。一定の財団が形成できれば、配当がなされます。
破産手続終了までの期間ですが、異時廃止となれば、破産開始決定から3か月程度で終了します。破産管財人が訴訟をする等、調査・換価作業に時間がかかったりすると、終了までに数年かかることもあります。
会社の事業継続にお悩みの方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。