事業再生ADRとは

1 はじめに

事業再生ADR(Alternative Dispute Resolution=裁判に代替する紛争解決手段)とは、裁判によらずに民事上の紛争を解決しようとする当事者のために、公正な第三者が関与して解決を図る手続をいいます。

平成19年度の産業活力再生特別措置法改正により創設された制度で、私的再建の一種です。

 

2 手続の流れ

手続の利用を考えている企業様は、まず事前に相談したうえで、正式に申込、受理されます。

 

①一時停止の通知

主要債権者ではなく事業再生実務家協会と債務者が連名で一時停止の通知を発します。

 

②第1回債権者会議

一時停止の追認と再生計画の概要説明がなされます。

 

③第2回債権者会議

事業再生実務家協会が選定する手続実施者(事業再生の専門家)が、公正中立的な立場から、債務者の策定する再生計画の調査を行い、意見を述べます。

 

④第3回債権者会議

全債権者の同意が得られれば、私的整理が成立します。

ただし、不同意の債権者がいる場合、事業再生ADRの手続きは終了し、特定調停手続に移行します。特定調停手続でも話し合いがまとまらない場合、法的整理に移行します。

 

3 事業再生ADRのメリットとデメリット

(1)メリット

①債務者単独で申請が可能

メインバンクと連名で行う必要がなく、債務者単独で申請が可能です。そこで、メインバンクが存在しない場合やメインバンクが全面的に協力していないわけではない場合でも、利用が可能となります。したがって、メインバンクが主宰者となる必要もありません。

 

②税制上の特例

金融機関側では債権放棄をすべて無税償却できることがあげられます。債務者側では資産の評価損を損金算入することができること、期限切れ欠損金を青色欠損金に優先して損金算入することができることがあげられます。

 

③企業価値の毀損が限定的である

公表を前提としていないので、信用不安による企業価値の毀損が限定的といえます。

 

(2)デメリット

①交渉・調整機能がないこと

地域経済活性化支援機構や整理回収機構のような交渉・調整機能がなく、手続が成立するか否かは債務者と債権者との交渉次第となります。

 

②費用が高額であること

負債の金額に応じて手続費用が変わりますが、正式申請に至るまでに数百万円、手続が成立した際には、さらに数百万円の報奨金が必要となる等、高額な費用が必要となります。

 

4 まとめ

上記のように、この手続は費用が高額であることから、中小企業が活用するためにはハードルが高く、資本規模の大きい大企業向けの手法といえるでしょう。この手法を含め、会社を再建するためにどのような手法が適切なのかについては、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。

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