ゼロゼロ融資が返済できない
目次
1 ゼロゼロ融資とは
ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が低下した中小企業に対し、実質無利子・無担保で提供された融資制度です。この制度は、中小企業の資金繰り支援を強化するために導入され、多くの企業が倒産を免れる助けとなりました。ゼロゼロ融資は初期に申請が殺到し、政府系金融機関のみでは対応できず、2020年5月から民間金融機関も融資を開始しました。日本政策金融公庫では、条件を満たした個人事業主や零細企業に最大6,000万円、中小企業には最大3億円までの融資が可能であり、設備資金は最長20年、運転資金は最長15年の返済期間が設定されていました。
しかしながら、会計検査院による報告によると、昨年度末時点で、政府系金融機関が実施したゼロゼロ融資のうち約1兆円が回収不能または回収困難なリスク債権(不良債権)になっていると報じられています。
2 ゼロゼロ融資の返済が困難になったときは
(1) 据置期間・返済期間の延長の相談
金融機関に対して、返済の据置期間や返済期間の延長を相談します。これにより、一時的な資金繰りの問題を緩和できる可能性があります。
(2) 中小企業庁のコロナ借換保証の利用
コロナ借換保証を利用して、より有利な条件での借り換えを検討します。これにより、既存の負債を新たな負債で置き換え、返済条件を改善することが可能です。
(3) 自治体のゼロゼロ融資専用の借換制度の利用
一部の自治体では、ゼロゼロ融資専用の借換制度を設けている場合があり、これを利用することで返済条件の見直しや緩和が期待できます。
(4) 経営相談窓口への相談
経済産業省が設置している経営相談窓口で、融資に関する相談やその他の経営上のアドバイスを受けることができます。
(5) 事業再構築補助金の申請
事業の再構築を目的とした資金調達に利用できる補助金制度を活用し、新たな事業展開や事業拡大のための資金を確保することも一つの方法です。
3 法的な対処法
(1) 法人破産
法人破産支払不能や債務超過に陥った会社について、裁判所が破産管財人を選任し、法人の財産を処分して債権者に配当し、会社を清算する手続です。法人破産のメリットには、債権者の取り立てからの解放や債務の負担からの免除が含まれます。しかし、デメリットとして、経営者が法人の債務の連帯保証人の場合、個人破産も必要になる場合があります。この場合、経営者個人の財産も債権者への配当に回される可能性があります。
(2) 民事再生
経営が困難な会社が債務を減免し、支払猶予を得て、再建を図る法的手続です。この手続は経営陣の交代が原則として不要で、会社を存続させることが可能です。民事再生のメリットには、経営権の維持、債務の減免と弁済猶予、企業イメージの低下が破産よりも少ないことが含まれます。一方、デメリットとしては、企業イメージの低下、担保権の実行リスク、認可後も続く返済責任があります。再建方法としては自力再建型、スポンサー型、清算型などがあります。
4 弁護士に相談を
ゼロゼロ融資の返済が難しい場合には、まず、借入状況の把握を行いましょう。企業の現状や資金繰りの状況によって対応策が異なるので、専門の弁護士に相談することをお勧めします。