コロナ融資の返済について
1.はじめに
昨今、「コロナ融資」という言葉を耳にされたことのある方は多いのではないかと思います。
ただ、実際にいずれかの機関が「コロナ融資」という名称で貸し付けを行っているわけではなく、コロナに起因する一時的な業績悪化に対応するための貸付を一般的にそのように呼称しています。
日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や商工組合中央金庫の「危機対応融資」などが代表的なコロナ融資です。
2.コロナ融資の返済が難しい場合の対応策
⑴ 返済の始期
コロナ融資の場合、新型コロナウイルスが流行している最中に、すぐに業績が回復するとは考え難いことから、一定期間返済を猶予する「据置期間」が5年などの単位で設けられている場合が多いかと思います。もっとも、基本的にこの据置期間が経過すれば返済を開始しなければなりません。
以下では、コロナ融資を受けたものの業績が思い通りに回復せず、融資を返済する目途が立たない場合にどのような対応が考えられるのか検討しています。
⑵ 返済猶予の交渉
返済期限がせまっている、あるいは既に返済期限をすぎてしまっているような場合に、返済の目途が立たないことを理由として、金融機関に連絡もせず一方的に返済を滞らせることは得策ではありません。
返済期限と業績の予想を照らし合わせたときに、期限通りの返済を始めることが難しいと思われる場合には、ご自身が融資を受けている金融機関に対し、据置期間の延長を申し出るなどして、まずは返済期限(据置期間)延長の交渉をすることが大切です。
⑶ 再度の融資
例えば、コロナ融資の一つである新型コロナウイルス感染症特別貸付では、直近で融資を受けた方であっても、新型コロナウイルス感染症の影響により資金繰りが改善しなかったことを理由に再度の融資を希望する方には、相談を行った上で融資をする場合があると公表しています(新型コロナウイルス感染症特別貸付等に関するQ&A:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html )。
既に融資を受けていることを理由に、必ず再度の融資が断られるわけではありませんので、ご自身が融資を受けている金融機関に対して相談をすることは有益だと考えられます。
⑷ 新型コロナ特例リスケジュール支援の活用
新型コロナ特例リスケジュール支援とは、中小企業再生支援協議会がコロナ融資返済のリスケジュール等を通じて中小企業の資金繰りをサポートする取り組みのことです。
「中小企業再生支援協議会」は、中立的な第三者の立場で金融機関と融資を受けた企業との間に入り、事業改善に向けた支援を行っています。(https://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/pdf/0520-08.pdf)
3.おわりに
以上のとおり、コロナ融資を返還することが難しい場合でも、個人として取ることのできる対策や、頼ることのできる公的な制度は存在しています。
返還期限を徒過する前に、こうした対策の検討や制度のご利用、弁護士等の専門家への相談をしてみることで、行き詰った状況が改善され得ることを知っていただければと思います。