「会社破産手続き中にしてはいけないことについて弁護士が解説」

会社の破産手続きは、経営が行き詰まり、債務の整理や事業の清算を余儀なくされた際に選択することとなる重要な法的手続きです。しかし、このプロセス中に適切でない行動を取ると、法的責任を問われたり、手続き自体が滞ったりする原因となります。本記事では、破産手続き中に避けるべき行為について弁護士の視点から詳しく解説します。

1.債権者平等の原則を守る

破産手続きでは、「債権者平等の原則」が厳格に適用されます。これは、破産財団(会社が保有する財産)を全ての債権者に平等に分配することを目的とする破産法の基本原則です。この原則を無視し、一部の債権者だけに優先して返済を行う行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、法律違反となる可能性があります。
例えば、特定の取引先に対して破産直前に大きな返済を行ったり、代表者の親族に優先して借金を返済したりすると、この偏頗弁済に該当します。これにより、他の債権者から異議が申し立てられるだけでなく、場合によっては破産手続きが停止される恐れがあります。
したがって、破産手続中は、弁護士と協力し、債権者全体の利益を公平に守る行動を取ることが重要です。

2.資産の適切な管理

破産手続き中、会社の資産を適切に管理することも極めて重要です。次のような行為は、法律違反として厳しく追及される可能性があります。
・資産の隠匿または損壊
財産を意図的に隠したり、壊したりする行為は、破産法上の犯罪と見なされます。例えば、現金や在庫を破産管財人に申告せず隠したり、価値のある備品を故意に損壊したりすると、大きな問題となります。
・不当な資産売却
破産手続き前後に、会社の資産を市場価格よりも不当に低い金額で売却する行為は「詐害行為」と呼ばれ、債権者の利益を侵害するものとされます。裁判所や破産管財人によって、こうした取引は無効とされる場合もあり、売却先も巻き込む問題となりますから、慎むべきです。
・無償譲渡
資産を無償で親族や知人に譲渡することも、債権者平等の原則に反する行為とされます。これにより、会社代表者個人が民事的・刑事的責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。

3.誠実な対応

破産手続きは、会社の現状を正確に把握し、関係者と誠実に対応することで円滑に進むものです。以下の行動は絶対に避けなければなりません。
・虚偽の報告
弁護士や裁判所に対し、資産や負債状況について虚偽の報告を行うことは、破産法上課された義務に違反します。破産手続きの信頼性が損なわれるだけでなく、破産犯罪として罰せられるリスクがあります。
・隠し事をしない
弁護士が会社の代理人として破産手続を進めるにあたっては、正確な情報を必要とします。資産の存在や債務の詳細を隠すと、適切な助言や対応ができなくなるだけでなく、結果として破産自体が認められなくなったり、代表者個人については免責されなくなるといった不利益を、ご自身が被ることになります。
このように、誠実な情報開示と適切な対応を徹底することが、破産手続きの円滑な進行には欠かせません。

4.新たな債務の抑制

破産手続中に新たな借金をしたり、クレジットカードを利用することは絶対に避けるべきです。これは以下の理由から問題となります。
• 刑事罰を受ける可能性がある。
• 手続きの誠実性が疑われる。
クレジットカードの利用も、クレジットカード会社による立て替え払い制度を利用することから、借入れと同じ性質を有します。破産手続中に新たな借金をすることは、もう破産をするから新たに借金をしても返済しなくてよいという意思で行ったと判断されて、刑事罰を受ける恐れがあります。
破産手続中にして良いか分からないことがある場合には、弁護士に相談する等し、破産手続きに影響を与える恐れのある行動は慎むようにしましょう。

5.情報管理

破産手続きに関する情報の取り扱いにも注意が必要です。資金繰りが悪化してきたことや破産の申立て検討していることを従業員や取引先に安易に話すことは避けましょう。
• 従業員への影響
破産の噂が広まると、従業員の士気が低下し、退職者が増える可能性があります。事業の継続が困難になるだけでなく、会社全体の価値が低下する恐れもあります。
• 取引先への影響
破産に関する情報が取引先に漏れると、信頼が損なわれ、取引停止や回収強化などの行動を招く可能性があります。
情報漏洩を防ぐため、弁護士と相談しながら慎重に進めることが求められます。

6.法的責任の認識

破産手続き中に不適切な行動を取ると、会社代表者個人に法的責任が及ぶ可能性があります。特に注意すべきは以下の行為です。
• 詐害行為
債権者を害する目的で資産を不当に処分する行為。
• 偏頗弁済
一部の債権者だけを優遇する返済行為。
• 虚偽報告
資産や負債について虚偽の報告を行う行為。
これらの行為は、破産管財人や裁判所による追及を受け、刑事責任や民事責任を問われる可能性があります。

7.弁護士の必要性

破産手続きは、専門的な法律知識と会社の状況に応じた臨機応変な判断が求められる複雑な手続きです。破産申立てを弁護士に早期に依頼することで、以下のメリットを得られます。
• 手続きの円滑化
法律に基づいた正確な手続きを進められる。
• 法的リスクの回避
不適切な行動を防ぐ助言が得られる。
• 債権者との交渉
債権者とのトラブルを防ぎ、円滑な調整が可能。
弁護士のサポートを受けることで、法的リスクを最小限に抑えながら手続きを進めることができます。

8.まとめ

破産手続きを進めるにあたっては、法律に基づき誠実に対応することが求められます。上述したポイントに抵触するような行為がないかについても、十分注意する必要があります。また、弁護士の助言を受けながら進めることで、法的リスクを回避し、手続きを円滑に進めることが可能です。ご自身の会社の経営状況にお悩みの方や破産をお考えの方は、ぜひ一度弁護士へご相談ください。

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