倒産に際して社長が知っておくべきこと

目次

家を守ることが出来ますか

会社と社長とは別人格ですから,会社が破産する場合,社長も必ず破産しなければならないわけではありません。しかし,ほとんどの場合,社長は会社の債務について連帯保証人になっています。社長個人がそれを支払うことができなければ,社長個人も破産せざるを得ません。
社長個人が破産する場合,社長の家も処分の対象になりますので,社長は家を売らざるを得ません。
しかし,家を売ってもその家に住み続ける方法があります。それが,リースバックです。
リースバックとは,いったん自宅を不動産会社やリース会社,個人投資家などに売却し,その家を賃貸住宅として借りることで,そのままその家に住み続ける方法です。賃貸住宅になるので,家賃を支払う必要はありますが,家を出て行かなくて済むという点で,大きなメリットがあるといえます。

車を残すことが出来ますか

1 会社名義で購入した車

会社名義で購入した車については,会社の破産手続を通じて現金化されるのが通常です。
これを防ぐために,破産手続が開始する前に,会社から車を買い取るというケースが考えられます。しかし,この買取価格が適正かどうかはかなり厳しく判断されます。適正価格でないと判断された場合,売買の効力が否定されたり,追加費用の支払いを求められたりすることがありますので,注意が必要です。
また,破産手続き後に破産管財人から車を買い取るという方法も考えられます。破産管財人が判断することになりますので,車の買取りを希望される場合は,破産管財人にその希望を伝えるようにしましょう。

2 会社名義でリースしている車

リース会社が車を回収しますので,車を残すことはできません。

3 社長個人名義の車

社長も破産する前提で説明します。車のローンが残っている場合,ローン会社等が車を引き揚げてしまいますので,車を残すことはできません。車のローンが残っておらず,高額な車でない場合は,自由財産として残すことが可能です。

債権者から追われませんか

弁護士に破産申立てを依頼された場合,弁護士から各債権者に受任通知という者を送ります。受任通知には,「以後一切の連絡は,破産会社や代表者ではなく,弁護士にしてください。破産会社や代表者に取立てをしないでください。」と記載します。
受任通知を受け取った貸金業者は,債務者(破産会社や代表者)に対して取り立ててはいけないという法律がありますので,貸金業者からの取り立ては止まることになります。
貸金業者以外にはこの法律の効果は及びません。しかし,弁護士から説得することで,数日のうちに取立てが止むことがほとんどです。破産会社や代表者に債権者から連絡があった場合は,すぐに弁護士に回すようにしてください。直接連絡しても意味がないと債権者が分かれば,直接の連絡はなくなるようになります。

債権者集会(財産状況報告集会)の内容はどのようなものですか

1 債権者集会(財産状況報告集会)とは

債権者集会とは,破産手続の進捗状況等を,債権者に対して報告したり,債権者から意見を聴取したりするために裁判所で開催される集会のことです。債権者集会のうち,財産状況報告集会とは,文字通り,債権者に財産状況等を報告するための集会を指します。

2 債権者集会の内容

債権者集会では,破産管財人が財産状況の報告等を行います。また,破産会社の体表者に対する質問も行われます。
債権者集会には,破産会社の代表者とその代理人弁護士は必ず出席しなければなりません。債権者も出席することができますが,現実には,ほとんどの債権者は債権者集会に出席しません。特に,債権者が大手の会社の場合,出席する方が珍しいです。
多くの債権者集会は淡々と進みますが,まれに多くの債権者が出席し紛糾することがあります。
債権者集会は,破産管財人による破産管財業務が終了するまで行われますので,1回で終了することもあれば,2回,3回と続くこともあります。

管財人からの追及はどのようなものですか

管財人の仕事は,破産会社の財産を調査し,換価し,配当することです。そのため,破産会社のお金の流れに不審な点がある場合や,不正が疑われる場合は,管財人は破産会社に対して,説明や資料の提出を求めてきます。
調査の結果,破産会社が財産を隠していたことや,特定の債権者だけに支払いをしていたことが明らかになると,管財人は,それによって利益を受けた者に対して返還請求をします。
たとえば,取引先には返済していないのに,知人にだけは借金を返済していた場合,管財人は,その知人に対して,返済を受けた分を会社に戻すよう請求することがあります。
このようなやましい点がないのであれば,管財人からの追及を恐れる必要はありません。また,不安がある場合も,弁護士がアドバイスしますのでご安心ください。

子どもが事業を継ぐことはできますか

法人破産すると,破産会社は消滅することになるので,子どもが全く同じ法人の代表者となって事業を継ぐことはできません。
しかし,新会社を立ち上げて,子どもがその新会社の代表者になることはできます。そして,その新会社が破産会社から事業譲渡を受ければ,子どもが事業を引き継ぐことができます。
もっとも,破産会社の債権者に大きな不利益を与える事業譲渡は,「詐害的事業譲渡」にあたるとして,管財人等から問題視されることがあります。最悪の場合,事業譲渡が取り消されてしまう可能性があります。
したがって,子どもに事業を継がせる場合は,管財人に問題視されないよう,事前に債権者等に同意を得るなどの対応が必要です。

法人の破産後も仕事をつづけることはできますか

結論としては,個人事業主として仕事を続けることができる場合があります。
法人破産をすると,破産会社は消滅してしまいます。また,法人の事業用資産はすべて売却され,取引先や従業員との契約関係もすべて解消されてしまいます。また,代表者も破産していると思いますので,代表者が信用情報機関のブラックリストに載ってしまいますので,金融機関からの借入れが難しくなります。
そのため,これらがない状態でも続けられるような仕事(腕一本で勝負できるような仕事)であれば,法人の破産後も仕事を続けることができます。

年金をもらうことはできますか

破産後も,個人年金以外の年金をもらうことができます。破産開始決定後に受け取った年金は,新たに取得した財産として自由に使うことができます。

1 年金を受給中の方

個人年金以外の年金の受給権は差押えの対象になりません。したがって,たとえば国民年金を受給中の方が破産しても,国民年金が受け取れなくなることはありません。

2 年金をこれから受給する方

破産をすると,個人年金については原則として強制解約され,解約返戻金が債権者に分配されます。そのため,その個人年金を将来受け取ることはできなくなります。
一方,個人年金以外の年金については,破産しても何ら影響がありませんので,将来受け取ることができます。

生活保護を受けることはできますか

破産しても,生活保護を受けることができます。また,破産申立て前に生活保護を受けることも可能です。破産したことやこれから破産することは,生活保護の受給要件と何ら関係がないからです。

 

家族の財産はどうなりますか

ご家族が保証人になられていない限り,ご家族が支払義務を負うことはないので,ご家族の財産に影響はありません。
ただし,家族名義の財産であっても,実質的には破産会社や代表者の財産と評価できる場合(財産隠しの場合)は,没収されてしまうことがあります。

第三者に分かりますか

各々の会社の事情により異なりますが、基本的には、第三者に知られてしまう可能性は低いです。一般的に、第三者に知られてしまうケースとしては、以下の場合が考えられます。

1 会社の登記簿謄本が取得された場合

会社の登記簿には、会社が裁判所から破産手続開始決定を受けた旨が登記されます。
登記簿謄本は、法務局への請求により、誰でも取得することができますので、登記簿謄本を取得した第三者に知られてしまう場合が考えられます。

2 破産した旨が掲載された官報が閲覧された場合

会社について破産手続が開始したことは、官報により公告されます。
官報は、インターネット上で誰でも閲覧できますので、これにより第三者に知られてしまう可能性が考えられます。
ただし、官報は、毎日刊行されている上に、破産手続の開始以外にも公布された新法令や官公庁からの告示等多くの情報が掲載されていますので、官報を見て偶然会社の破産を知るような第三者は、現実には殆どいないと考えられます。

3 信用情報が照会された場合

破産後7~10年の間は、信用情報機関に事故情報として登録されるため、その間は、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることはできません。
そのため、破産後7~10年の間にローンを組まなければならない状況となった場合、信用情報を照会した金融機関に、破産したことが知られる場合が考えられます。

従業員がいるのですがどうすればよいですか

従業員は、解雇しなければなりません。
従業員に対する未払い賃金がある場合、労働者福祉機構の賃金立替払い制度を利用して、従業員に賃金を立替払いしてもらうことができます。

破産後、会社役員になることはできますか

破産手続終了後に、会社役員になることは可能です。
ただし、上述のとおり、破産後7~10年の間は信用情報機関に事故情報が登録されるため、金融機関から、自身が役員となった会社への融資を断られる場合がありうることにはご注意ください。

代表者だけ破産したいのですが、可能ですか

代表者だけが破産することは難しいと考えられます。
小規模な法人の場合、代表者個人の資産と会社の資産との混同が生じやすく、経理上、会社から代表者に対する貸付金、代表者から会社に対する借入金として計上されている場合も少なくありません。その場合、たとえ代表者個人だけが破産したとしても、結局法人の負債や財産の状況を確認しなければならず、実質的には法人の破産と同様の処理が行われることとなります。
また、代表者個人が破産手続開始決定を受けると、これにより会社との間の取締役としての委任契約が終了し、会社には代表者がいない状態となってしまいます。そうすると、会社債権者は、会社に対する債権回収ができなくなってしまう等の支障を生じることとなります。

店舗や倉庫はどうなりますか

会社が賃貸している店舗や倉庫は、破産手続の終了までに、賃貸借契約を終了し、貸主に明け渡すことになります。破産開始手続の申立てまでに会社が賃貸借契約を終了させていなければ、破産管財人が賃貸借契約を終了させることになります。
会社が所有している店舗や倉庫は、親族等が適正価格にて買い取らない限り、破産財団に属し、換価されて各債権者に対する弁済に充てられることになります。

会社の財産を使ってしまったのですが大丈夫ですか

代表者が、個人的に会社の財産を費消してしまっていたとしても、破産ができなくなるわけではありません。
ただし、本来、会社の財産と代表者の財産は明確に区別されていますので、代表者が個人的に会社の財産を費消することはできません。そのため、代表者は、管財人の指示に基づき、自らが使い込んだ財産を会社に返還した上で会社を破産させることになります。
会社と同時に代表者も破産する場合、代表者には、もはや使い込んだ財産を会社に返還する資力がないことが多いです。この場合には、支払い可能な限りで会社に財産を返還することになります。

会社の特許や著作権はどうなりますか

会社の特許や著作権といった知的財産権も、会社の財産であるため、破産管財人により任意売却され、各債権者に対する弁済に充てられることになります。
当該知的財産権につき取引先との間でライセンス契約が締結されていた場合、破産に際して当該ライセンス契約も解除されることになります。
ライセンス契約は、取引先に対してブランド商品や特許製品の製造、販売を認める契約です。会社の破産により当該取引先が今後、商品の製造、販売ができなくなるとすれば、場合によっては当該取引先に大きな影響を与えることになります。そのため、このような場合には、当該知的財産権を当該取引先に任意売却することが多いです。

取引先はどうなりますか

破産に際して取引先との関係や会社の事業をどのようにするかは、ケースバイケースです。
破産管財人は、破産手続開始決定後、裁判所の許可を得て事業を継続することもでき、事業を終了して各契約を終了させることもできます。仕掛中の仕事を完成させることにより、収益を上げて破産財団の額を大きくすることができる場合には、事業の継続を検討することになります。他方、事業の種類によっては、事業継続させることのリスクが大きいため、事業を終了させることもあります。
また、場合によっては、破産手続開始決定後に、会社の事業を第三者に譲渡して、当該第三者との間で取引先との関係を継続することもあります。事業譲渡により得られた対価を破産財団に組み入れ、各債権者に対する弁済に充てることができるためです。

クレジットカード作れますか

破産後7~10年の間は、クレジットカードを作ることはできません。
上述のとおり、破産後7~10年の間は、信用情報機関に事故情報として破産した事実が登録されるため、その間は、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることはできないことになります。

破産したあと借入できますか

破産後7~10年の間は、新たな借入はできません。
上述のとおり、破産後7~10年の間は、信用情報機関に事故情報として破産した事実が登録されるため、その間は、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることはできません。

 

 

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