破産した場合、代表者の家族や従業員の生活はどうなるのか
会社が破産するとどうなるか
会社が破産すると、原則として、会社の事業は停止し、従業員も全員解雇することになります。
また、代表者が会社の債務について連帯保証をしている場合は、会社と一緒に代表者個人も破産手続を行うことが多いです。
代表者個人が破産手続を行った場合、基本的には、所有している財産を処分して、債権者への配当に当てることになります。このため、代表者個人に、所有している自宅があれば、自宅を任意売却や競売で売却することになります。
従業員の生活はどうなるのか
会社の事業を停止すると、従業員の雇用を継続することができないため、全員解雇することになります。
いつどのような形で従業員を解雇するのかについては、破産申立手続との兼ね合いで事前に検討しておく必要があります。
会社に資金的な余力があれば、従業員に解雇予告手当を支払って即時解雇することになります。解雇予告手当は、30日分以上の平均賃金を支払うものです。解雇予告手当を支払うことができれば、直近の従業員の生活は何とかなると思われます。
会社の資金に余力がなければ、解雇予告手当を支払うことができません。このため、従業員は、破産手続の中で未払いの解雇予告手当の支払いを受けることになりますが、会社の資金に余力がないのですから、破産手続の中で支払いを受けるのは非常に難しいでしょう。
会社が破産手続開始の申立てをすれば、従業員は、未払賃金立替払制度を利用することによって、独立行政法人労働者健康安全機構から賃金の8割について立替払いを受けることができます(適用要件あり)。
ただし、この制度を利用するには、必要な書類を準備するなどして時間がかかるため、実際に立替え払いがされるまでには一定の時間がかかることになります。
会社が破産手続を行うにあたり、事業とともに従業員も引き継いでくれる先を見つけることができれば、従業員の今後の生活はとりあえずは問題ありませんが、引き継いでくれる先がないということも多いでしょう。
代表者の家族の生活はどうなるのか
会社の事業が停止するので、代表者は会社からの収入が得られなくなり、収入の途が途絶えることになります。
このため、これまで代表者の収入で生活していた家族は、これまで通り生活することができなくなります。このため、代表者が別の会社に就職して生活費を稼いだり、代表者の家族の収入で生活していくことになります。
また、会社と一緒に代表者個人も破産すれば、基本的に、代表者は所有している自宅などの財産を処分して、債権者への配当に当てなければなりません。
このため、代表者も破産して自宅を売却することになった場合は、代表者の家族も自宅に住むことができなくなります。もっとも、これについては、親族に自宅を購入してもらったり、リースバックを利用するなどの方法で、自宅に住み続ける方法もない訳ではありません。
傷を広げないためにも早期に破産の決断をすることも必要
会社が破産すると、従業員や代表者の家族にも大きな影響があることは間違いありません。
しかしながら、収益が出ないまま無理に事業を継続すると、更に債務が増大して債権者に更に迷惑をかけて傷を広げることになりかねません。
また破産手続を行うためには一定の資金が必要であり、会社の資金が底をついてしまうと破産手続を取ることもできなくなります。そうすると、債権者や従業員にも更に迷惑をかけてしまうことになりかねません。
このため傷を拡大しないためにも、会社の資金にまだ余力がある段階で、早期に破産手続を取る決断をすることもときには必要となります。
代表者の家族の今後の生活や、従業員の今後の生活についてお悩みの方は、是非一度、法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。